TOP

クリプト探偵ビトー EP.3 EVIコイン

私はビトー。何の因果か、興信所では解決できないテクノロジー絡みのあらゆる相談を高額のBTC払いでのみ請け負うことから、人は私を「クリプト探偵」と呼ぶ。

AGESENコインの一件で、資金の一部を取り戻せたことを良いことに、その日のうちに新たな仮想通貨商法に手を出した依頼人の小山みさ江。

そのEVIコインは、フィリピンにある東京ドーム450個分のエビ養殖場を後ろ盾資産としている仮想通貨。元値が1匹2円のブラックタイガーが120から130円になるから、ひと財産は軽く築ける。まずは数百万円から始めて1年で2倍に、と言う黄金パターンの謳い文句。既に私の周りではお笑い沙汰の同コインも、欲で餌に飛びつく人間にとっては、よほど旨い話に見えるらしい。

「パーティーではお友達が、50万円投資で10日ごとに27,780円配当が振り込まれてきたって。その通帳までちゃんとこの目で見たんです。」と依頼人。
「で、今回はおいくら買われたのでしょう?」
「300万円です…」
「最悪でもまた半分は取り貸せるだろう、と?」
「いやあの…はい…」
「しかしまた、今回は早く気づかれましたね?」
「昨日現金で支払って、今日の朝に弁護士から電話が来て、台風で養殖場が決壊したっていうんです。破産するので払えないって。」

この人物はとことんついていないようだ。通常はまず旨い汁を吸わせてから巻き上げる手法だが、その前にもう破綻がやってきたというのか。

ここでの問題は、EVIコインが市場で流通さえしていないという点だ。AGESENはCounterparty上で自由に売買できてしまうため、運営者にとっても価格コントロールは一苦労。しかし今回は、そもそもEVIコイン自体が存在するとも限らない。

ちなみに、世間的には出資法に反しない体を採るため、コイン管理者はビットコイン建てのみでの販売としているが、実際は依頼者のように多くが取次店と称する業者から円建てで買わされているというのが実態だ。

「奥様、今回はもう、相手を訴えたとしても資金は戻ってこないでしょう。」
「ビトーさん、そんな…」
「うむ、ではこうしましょう。私のネットワークを使って、半分である約150万円分のビットコインを取り戻しましょう。ですので、報酬の50BTCを前払いでお願いいたします。」
「分かりました、今すぐ送金します。」
「あ、奥様、ちょっとお待ちください。やはりこのお話はお受けできません。無かったことにして下さい。」
「え、そんな…」

こんな私さえ、一瞬だけでも魔が差すほどの哀れな被害者。この業者自体、EVIコインどころか正にEVILコインだが、仮想通貨自体には何の罪もない。

続く:

クリプト探偵ビトー EP.4 論よりブロックチェーン

私はビトー。何の因果か、興信所では解決できないテクノロジー絡みのあらゆる相談を高額のBTC払いでのみ請け負うことから、人は私を「クリプト探偵」と呼ぶ。私の仕事はコイン商法被害者の相手ではない。時折、企...
by Takao Asayama 朝山貴生 2016-08-16 03:36


前回:

クリプト探偵ビトー EP.2 コイン販売商法

私はビトー。何の因果か、興信所では解決できないテクノロジー絡みのあらゆる相談を高額のBTC払いでのみ請け負うことから、人は私を「クリプト探偵」と呼ぶ。コイン販売商法。すなわち価格が上がると謳い、代理店...
by Takao Asayama 朝山貴生 2016-08-16 00:12

.

最終更新日:2016-08-17 19:47

コメント (0)